7期生・石黒さんより⑥

英語に苦手意識を持っている方はたくさんいると思います。留学や仕事で英語圏に住むと、誰でも自然に英語が話せるようになるのでしょうか?何かコツや秘策があるのかもしれません。

では、ご覧ください。


◆英語を喋る上で気を付けて頂きたいこと◆

英語に関する3回目、最後の記事として、今回は日本語を普段喋っている人が英語を効率よくある程度まで喋れるようになるために気を付けて頂きたい事を私なりに考えて、ここに書いていきたいと思います。

英語を喋れるといろいろな国の人たちとお話ができて、楽しいですよね。喋ると言ってもいろいろなレベルの喋り方があります。挨拶程度、二言三言の会話、数分の会話、かなり複雑なビジネス会話とかいろいろあると思います。ここではある程度の英会話をするという想定で、話をしたいと思います。

前回の記事の中でも御紹介しましたが、日本人の方が英語を喋ろうとするときに、多くの方たちが苦労されます。口で言っても相手に伝わらない、相手が言っていることが分からない。なぜこういうことが起こるのでしょう?簡単な例を使って説明させてもらいます。

日本語で、

1)私は今日その公園に行きます。という文章を考えてみます。
この文章はSOV型式の文章です。

S —主語(私)O — 目的語(公園)V — 動詞(行く)
の順に並んでいます。

これを英語で言うと、

I go to the park today. となります。
この文章はSVO型式の文章です。
 S — 主語(I)V — 動詞(GO)O — 目的語(PARK)
の順に並んでいます。  

上の文章で、日本語の動詞は行くで、英語の動詞はgo です。二つの文章を見ていただいて一番の違いは動詞の文章内での位置です。
日本語の場合は、動詞は大体いつも文章の終わりで、英語の場合は主語のすぐ後ろにくるのが、一般的です。

英語の単語を理解できても文型を正しく理解していない日本人の方が、上の文章を英語に直そうとすると、多分こういうような言い方をされると思います。一般的に言われているブロークンな英語です。

I today the park go.
—この文型はSOV型の英語のようなものですが、英語ではありません。

この文章を相手の外国の方に言ってもまず理解していただけるとは思いません。英語の文章の中で、動詞の働きはとても重要で、主語のすぐ後ろに来て文章の流れをコントロールします。これが最後の方に出てくると、英語としての文章は成り立ちません。

ですから、英語を喋るときに大事なことは自分が喋ろうとしている文の構成が英語のSVOの形になっているか、なっていないか喋っている最中に注意をしながら喋らないと相手に言おうとしていることが伝わりません。

日本人というか、母国語がSOV型式の人たちが英語のようなSVO型式の言葉を喋ろうとするときに、喋れない大きな理由は文章の中での動詞の位置を変えて英語のSVO型式に頭の中でできないところにあると考えます。

トロントで生活をしていますと色々な国から来られている人たちが訛りのある英語で買物とかで店員さんと店の中で話をされてるのを見る機会が時々あります。例えば、歳を取った中国人の方が、店員さんにゆっくりと訛りのある英語で話されるのを時折聞いていますが、この人たちが言っている英語は訛りがあるのだけど、言っておられるすべてを理解することができます。なぜなら言っていることが英語のSVO型式に当てはまっているからです。中国語もSVO型式です。型式が同じだと、ただ単語を母国語から英語の単語に直して喋るだけで、相手に意味が伝わります。日本語の様に、動詞の位置を置き換えなくてもいいので、楽に英語で喋ることができると思います。私がドイツでドイツ語を喋っていた時は、英語の単語をドイツ語の単語に変えてただ英語の様に喋っていたのと同じ理屈です。

それではSOV型式を母国語としている人たちが、SVO型式の英語を上手く喋れるようにするにはどういうようなことをすればいいのでしょうか?
私がアドバイスとして申し上げたいのは、

1)とにかく、頭にSVO型式を叩き込む。主語の後には一般的には動詞が来る。動詞が言っている言葉の流れをコントロールする重要な働きをするので、とにかく動詞の位置に注意をして話をする。

2)日本人同士で対面で英語の基礎的な会話を何回も練習する。動詞の位置にいつも注意をしながら話をする。話をするときは日本人同士でも恥ずかしがらずに、何回も英語の言葉を口から出して喋ることが大事です。間違いを恐れずに、とにかく口に出して英語を喋ってみてください。日本人同士で練習してきたことが、外国の方と話をするときでも役に立ちます。外国の方と言っても別に英語が母国語の方にこだわる必要はないと思います。相手が非英語圏の方でも初歩的な会話をするのには全然問題ないと思います。

3)発音も大事なんですが、最初の頃はあまり気にしなくてもいいと思いますが、とにかくSVOの文型を覚えて、自然と口から出てくるようになるように何回も反復練習をしてください。理想的には頭で考えなくても口からSVO型式が勝手に出てくるようになるようにするのが良いと思います。

日本語にはRの音がないので、R と英語で書いてあっても日本人の人は多分 L の発音をされると思います。相手の方が英語を理解されているならR と L を間違って発音しても、前後の言葉でちゃんと判断できると思います。TH の発音にしてもそれほど意識しなくてもいいかと思います。あまりにも発音ばかりを意識しすぎて前に進まないのでは、会話をする喜びが半減してしまいます。私自信に関しては、英語を喋るときに意識しなくても自然とSVO型式の英語が口から出てきますし、夢を見るときも英語で夢を見ています。日本語で生活していたのは20数年で英語環境の生活は50年近くになるので年数から考えると自然とそうなるかと思います。

4)  英文法の本を読んで、文法を十分に理解しておく。文法の理解なしには、語学の習得はあり得ないと思います。特に書く英語では、文法が大変重要になります。動詞の種類、動詞の時制の理解、現在、過去、過去完了、動詞の使い方の理解をしていただきたいと思います。

SVOの形が頭に入っていれば、後は単語を少しずつ覚えて行き、その単語を使いながら文章をSVO型式に作っていけばいいかと思います。
大事なことはとにかく、言っている文章が、SVO型式になっているかということで、形になっていれば、相手に意味は伝わっていくと思います。

日本語の文章型式はご存じの様にSOV型式です。これに似た型式のほかの言語は、韓国、朝鮮語、モンゴル語、トルコ語などがあります。
日本人の方がもしこれらの言語を習われると無理なく習えて喋るときにも英語を喋るときのような難しさはないと思います。時々、韓国から来られている歌手の方たちを日本のテレビで見ることがありますが、とても流暢な日本語を話されますね。それとか、モンゴルから来られているお相撲さん達、ほぼ完ぺきな日本語を話されます。ところが、ヨーロッパ、ハワイから来られている相撲取りの人たちの、日本語はいつまでたってもたどたどしいですね。小錦は例外かと思います。

参考までに英語のSVO型式をしているほかの言葉もあげさせてもらいます。この形式を使っている言葉で英語を習おうとした場合は無理なく習うことができて喋るのもそれほど難しくはないかと思います。ヨーロッパ全般の言語、中国語、ギリシャ語、ロシア語、ベトナム語、インドネシア語、マレーシア語などがあげられます。
中国人の人達が英語を喋れる理由としては中国語も英語も同じSVO型式だからだと私は思います。

英語を喋るときには、一にも二にも、ちゃんとしたSVO型式の文章にして相手に喋ってください。このことを頭に入れて、これからも一生懸命に勉強をして行かれたら良い結果が出てくると思います。

最後にひとつお伝えしたいことは、英語圏の国にどれだけ長く住もうがただ住んでいるだけでは英語の上達はありません。私が最初トロントに来たときに、戦前にカナダに来られた日系の人たちとお話しする機会がありましたが、ずっと日系の社会の中で生きてこられて、英語を勉強する機会がなかったような感じで、全くと言って話すことができないようでした。勉強をしないと語学は上達しません。日本にいても勉強すれば、英語はかなり話せるようになると思います。

これで3回に分けて書いてきた私の英語に関する記事を終わらせていただきます。次回の記事は私が知っている範囲内でのトロントの学校制度について書かせていただきます。制度上において日本との一番の違いは高校生が大学に入るときに大学入学試験がないということでしょうか。入学試験がなくてそれではどういう様にして大学に入るのでしょうか? そういうところを少し詳しく次回お話しさせていただきます。


英語と日本語は文の成り立ちが違うので、どうしても頭で変換してからでないとしゃべれないですよね。小学校から英語の授業があったり、ネットで海外の情報が簡単に手に入るようになるなど、英語に触れる機会が以前よりは増えてきたので、もしかするとそう遠くない未来に「英語は話せて当たり前」の時代が来るかもしれませんね。

石黒さんの過去の記事は、以下からもご覧いただけます。

第1回「大谷翔平選手、トロントで勝利投手に」

第2回「カナダで1番大きな都市・トロント」

第3回「トロントのクリスマスと新年」

第4回「日本人と英語」

第5回「私の英語とドイツ語」

 

 

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